サンスクリット ― 音読のための基礎文法

注:このページの記述の多くは、これらの参考文献や辞典に拠っています。

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-sva〔命令法為自二人称単数〕

-āvahaiのページ-tu [1]のページ-ntuのページに引き続き、動詞の命令法の語尾について見ていきたい。

dāso'yamiti māṃ matvā kṣamasva sāyīśvara || Kṣamā prārtanā /「ヴェーダテキスト1」サティヤ サイ出版協会 p.140

kṣamasva は、「堪える・忍ぶ」「赦す・寛容を示す」などを意味する動詞√kṣam の変化形の一つ。この形も命令法の一種で、為自二人称単数の形である。「汝は(汝自身のために)〔誰それを〕赦せ」といった意味になる。

-svaという語尾は、命令法為自二人称単数を表す。⇒『汝は(汝自身のために)~せよ』

先行する「dāso'yamiti māṃ matvā」の部分は、「『この者はしもべである』と私のことを見なして」といった意味。主語は主節の動詞である kṣamasva と同じニ人称単数として読む。さらにそのうちの「dāso'yamiti」の部分 は、連声を外すと「dāsaḥ ayam iti」の3語であって、dāsaḥ は「しもべ・召使い」の意味。ayam は「彼が・この男が」。iti は「~と」などと訳し、発言・思考の内容を示す語である。続く māṃ は「私を」(一人称単数対格)。matvā は、動詞√man(考える・思考する)の“絶対分詞”と呼ばれる形で、主節の行為に先行する行為を表す。つまり「考えて・考えてから・考えることで」。

文末の「sāyīśvara」は呼びかけの形(呼格)である。「sāyī」(サイ)と「īśvara」(主・支配者)の合成語。なお、このうち「sāyī」は元来のサンスクリットには存在しない単語で、「svāmī」(スワミ=「支配者が・主人が」)の転訛した語形が、サンスクリットに再移入されたものと考えられる。

svāñcā'gne tanuvaṃ piprayasva^asmabhyaṃ ca saubhagamāyajasva || Durgā Sūktam /「ヴェーダテキスト1」サティヤ サイ出版協会 p.78

piprayasva は、動詞√prī (満足させる・喜ばせる・楽しませる)の変化形。同じく命令法為自二人称単数であるが、現在(未完了)語幹ではなく完了語幹であって、完了の命令法というのは大変珍しい。

āyajasvaは、動詞ā√yaj (祭式によって~を獲得する)の変化形。

この部分の文字通りの概略は以下である。

ca 「そして」、agne「アグニ神(火神)よ」、svān「自分たちを」、tanuvam「身体・形態を / 自身を」、piprayasva「すっかり満足させていてくれ」。ca 「そして」、asmabhyam「私たちのために」、saubhagam「様々な幸運・幸福を」、āyajasva「祭式の結果としてもたらしてくれ」。

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Q. svaという音があれば、動詞の命令法と言えるの?

A. いいえ、残念ながらそうは言えません。上にも svān という形で出てきていますが、sva 「自分」という代名詞がありますし、svar「天界・天国」、√svap「眠る」、svara「音」など、この音を語幹部に含む単語がたくさんあるからです。

命令法の語尾だと言えるためには、-sva の直前が、動詞の語幹として解釈できることが必須になります。相当数の動詞の語幹形を覚えており、前後の単語の見当もついていて初めて、これが命令法為自二人称単数の語尾だと推測できるのです。

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(最終更新2014.5.5)

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