代音唱法の考察

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類・均・種・調・格(3)

まずは音階にまつわる部分で、音の呼び名の話をしよう。

類・均と、音名・階名

類と音の呼び名

音階のは、無数にありうる。

長音階および自然短音階はディアトニック類(ダイアトニック類)で、西洋の流れを汲む音楽教育ではまずそれを習うから、それ以外の音階については、考えたこともない方がおそらく大勢おられることと思う。増二度(全音より半音分広い)を含む音階、半音の連続を含む音階、三分音(全音の三分の一)や四分音(半音のさらに半分)を含む音階など、必ずしも近現代の思い付きではなく、紀元前の古代より様々な類の音階が伝承されているのである。

しかるに、ヨーロッパ起源の階名ドレミは、原則として、ディアトニック類に固定されている。従って、それと似ていない類については、すんなりと表現することができない。であるから、類によってはドレミが適用できず、別の階名を用いなくてはならない、ということになる。

それゆえ、類の種類を表現するのに、ドレミ階名は適役とは言えない。例えば、12平均律の半音幅を単位「1」として、構成音間の音程を模式化したり、或いはさらに、半音の100分の1を単位とした「セント値」で音程を精密に定める方法も考えられる。同じディアトニック類でも、大雑把に分類をすれば、12平均律も各種純正律も一緒だが、後者のように細かく分類すれば、異なる類、ということにもなってくる。

もし、私の唱える音度名「拡張移動サ」を応用して、均基準音を「サ」と置いて他の音の呼び名を定めるならば、階名としても、ドレミよりずっと応用幅の広い活用ができるであろう。短二度の連続や増二度があっても、また、8個以上の音度を含んでいても、さらに、四分音などの微分音があったとしても、柔軟かつ一意的に表現できるからである。

類を表現するためには、音名の列挙は、あまり得策ではない。例えば、ある類をドイツ式音名を用いてC・Des・E・Fis・G・As・H・Cと呼んだところで、この音階を短三度上下したらどんな音名になるのか、主音をいろいろに変えたらどんな雰囲気の旋法になるのか等は、すぐには想像できないからである。そもそも音名は、名付けられた音高それ自身を想起するためにあるもので、そこから音列の音程関係を抽出して代表させるためにあるのではない。

それだけでなく、場合によっては「音階に含まれている構成音を表す適切な音名がない」という事態も当然考えられる。それはつまり、ヨーロッパの伝統的な音名は、ディアトニック類を想定して作られているものであり、それをさらに、国際的な会議での決定を通じて特定の周波数の近くに集めているわけであるから。例えば四分音があれば、それ用の規則を作って、音名を「拡張」しなくてはならないのである。

(つづく)


(最終更新2012.11.19)

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