声楽と音度名唱

 ※音度名唱「拡張移動サ」の全体を概観するには、拡張移動サ音度名表をご覧ください。

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移動サの用語集:ハ行

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バーヴァ(ばーゔぁ:bhāva)

インド古典音楽で、ラサ(芸術的味わい)を実現するために必要な、心情的要素。

技術的形式的要素であるところのラーガターラと合わせて、音楽の3要素とも数える。

英語の動詞'be'と同語源であるサンスクリットの動詞√bhūから派生し、大もとの意味は「状態・状況」のこと。芸術論の主要概念として、多くのジャンルに共通する。何か特定の状況下における、基底的心情(スターイ=バーヴァ:8~9種類)、附随的心情(ヴィヤビチャーリ=バーヴァ:33~34種類)、そして意図しない身体的言語的な心情の表れを含み、それぞれが分類されている。これを伝達する技法が、アビナヤ(表現:abhinaya)と呼ばれる。

技術的形式的にどれほどラーガやターラの規則に適った演奏でも、適切なバーヴァを伴わなければ、よい音楽とは呼ばれないとされる。

倍音(ばいおん)

特定の楽音の成分を成す部分音のうちで、基音の自然数倍の周波数〔振動数〕を持つもの。基音自体は、第1倍音と数えられる。

倍音が数多く大きな音量であり、倍音以外の部分音が少なければ、澄んでかつ豊かな音色に聞こえるとされる。

倍音列(ばいおんれつ)

特定の楽音について、倍音を書き並べた音列。音程の協和の度合いを調べる場合などに用いられる。

派生音(はせいおん)

音階または旋法の運用の中で、標準の音程から臨時に変位している音程の音。西洋音楽の文脈の中では通常、ハ均のディアトニック音階(全音階)の派生音のことを指し、それは、ピアノの黒鍵で弾ける音のことである。

幹音と対になる概念。

パッタ(ぱった:paṭṭa)

旋法のうち、ニシュターナに、更にその主音音高のみを追加で定めたもの。原義はサンスクリット及びヒンディー語で「習字板」であり、訳して「音冊(おんさつ)」とする。拡張移動サ専用の術語。

半音単位の7音ニシュターナは全て、移調に対して非対称であるため、12半音単位の7音のパッタは、全部で271,656種類存在する。(※24四分音単位では474,854,688種類。)

主音の音高を規定する方法は、移動サの音名的用法に従い、音高を示す記号をさらにその前に置く。例えばニシュターナ「rip@e-al」の主音が、西洋式音名の「D」であった場合には、「S-rip@e-al」と書いて「サウ=リペー=アル」と読む。

パットラ(ぱっとら:pattra)

オクターヴを2,200に分割した音程の単位。

原義として「葉・花弁」「羽根」などを意味し、1パットラは、22平均律による1シュルティの、100分の1に相当する。1パットラのセント値は、約0.545¢。単位記号としてはп(キリル文字のペーの小文字)を書く。漢字では「鉢怛羅」と音写される。

主な音程は、1オクターヴが2,200пのほか、完全五度=1,287п、完全四度=913п、自然長三度=708п、自然短三度=579п、自然長二度(大全音)=374п、小全音=334п、自然短二度(大半音)=205п、小半音=129пなど。十の位で四捨五入するだけでシュルティ値が判別でき、22平均律との差異がどの程度あるかがすぐに分かることと、非常に細かな音律の違いを区別できることが特徴である。逆に、オクターヴを12分割・24分割する音律との対応は分かりづらい。

パルヴァン(ぱるゔぁん:parvan)

アンガの端、即ち一番下か一番上に位置する音。枠組みを作る重要な音なので、「核音(かくおん)」とも言う。語義としては造語であるが、パルヴァンとは本来、サンスクリットで「節・関節」を意味し、訳して「節音(せつおん)」ともする。アンガ(つまり肢体・手足)を結合する音。

主音として適切な音は、パルヴァンであり、多くの音がパルヴァンになりうる音階ほど、対称性に富み音楽を展開しやすい。その意味で、ディアトニック音階(全音階)は、最も自由度の高い7音音階である。

半音(はんおん:semitone / half step)

音程の単位で、全音の半分。オクターヴの12分の1。

ドレミで言えば、「ミ―ファ」「シ―ド」間のそれぞれの音程のこと。伝統的な西洋音楽では、音程ゼロを意味する完全一度を除くと、これが最小の音程である。セント値で言えば、12平均律では100¢であり、音律により、概ね112¢・90¢・92¢または119¢といった値を示す。

パンチャマ(ぱんちゃま:pañcama)

インドの伝統によるⅴ度音の音度名。「パ(P)=スヴァラ」。スヴァラの一つ。

「五番目の」の意味で、文字通りⅴ度音を表す。

ピッチクラス(ぴっちくらす:pitch class)

互いにオクターヴ関係にある音高を、何オクターヴ離れていても、同じクラスに属する音高としてまとめ、それぞれのクラスに番号・記号または名称を割り当てたもの。音級。

その際にディアトニック音階(全音階)を基準とせず、同音階の幹音も派生音も同等に扱うのが原則である。

微分音(びぶんおん:microtone)

楽曲に用いられる、半音よりも狭いが、人間の耳で聴き分けられる音程単位。

セント値で言えば、半音として用いられる概ね90¢~120¢よりも狭く、耳に聴き分けられる限界である約5¢~6¢よりも広い音程で、概ね20¢~70¢程度の音程を指す。

全音を何分割したかによって「○分音」と呼び、三分音(約67¢)、四分音(約50¢)、六分音(約33¢)、八分音(約25¢)、九分音(約22¢)といった音程単位がある。九分音より細かい音程は聴き取りが非常に困難であり、一般に、微分音的というより音律的な差異とみなされる。

ヒュポイオニア旋法(ひゅぽいおにあ・せんぽう:Hypoionian mode)

ヨーロッパ音楽の旋法名。ヒュポイオーニア旋法。ヒポイオニア旋法。ハイポイオニアン。ハイポアイオニアン。

教会旋法名としては、「第Ⅻ旋法」と呼ぶ方がより正式で、ドレミでは「ソラシドレミファソ」でドが主音・ミが軸音、拡張移動サでは「パディヌサリグマパ」と表記できる。ルネサンス期に正式に追加された旋法の一つ。

なお、古典ギリシア語及び古典ラテン語では、語頭のHy-の'y'は前舌円唇母音であるが、教会旋法命名当時の中世ラテン語では、'i'と混同されていた。また、古典ギリシア語及び古典ラテン語では、'io~'の'o'の母音は長母音であったが、教会旋法命名当時の中世ラテン語では、母音の長短による語の区別は失われていた。

ヒュポエオリア旋法(ひゅぽえおりあ・せんぽう:Hypoaeolian mode)

ヨーロッパ音楽の旋法名。ヒュポアイオリア旋法。ヒポエオリア旋法。ハイポエオリアン。ハイポイーオリアン。

教会旋法名としては、「第Ⅹ旋法」と呼ぶ方がより正式で、ドレミでは「ミファソラシドレミ」でラが主音・ドが軸音、拡張移動サでは「パダニサリギマパ」と表記できる。ルネサンス期に正式に追加された旋法の一つ。

なお、古典ギリシア語及び古典ラテン語では、語頭のHy-の'y'は前舌円唇母音であるが、教会旋法命名当時の中世ラテン語では、'i'と混同されていた。また、古典ギリシア語及び古典ラテン語では、'ai'/'ae'の母音は二重母音であったが、中世ラテン語では単純な'e'となっており、後の言語では'i'に変わっている場合もある。

ヒュポドーリア旋法(ひゅぽどーりあ・せんぽう:Hypodorian mode)

ヨーロッパ音楽の旋法名。ヒポドリア旋法。ハイポドリアン。

教会旋法名としては、「第Ⅱ旋法」または「変格プロトゥス(protus plagalis)」と呼ぶ方がより正式で、ドレミでは「ラシドレミファソラ」でレが主音・ファが軸音、拡張移動サでは「パディニサリギマパ」と表記できる。

古代ギリシアで用いられた名称としては、ドレミでは「ラシドレミファソラ」、拡張移動サでは「サリギマパダニ」、教会旋法でエオリア旋法と呼ばれるものに相当する。

なお、古典ギリシア語及び古典ラテン語では、語頭のHy-の'y'は前舌円唇母音であるが、教会旋法命名当時の中世ラテン語では、'i'と混同されていた。また、続くdo-の'o'の母音は、古典ギリシア語及び古典ラテン語では長母音であるが、中世ラテン語では、母音の長短による語の区別は失われていた。英語では長母音。

ヒュポフリギア旋法(ひゅぽふりぎあ・せんぽう:Hypophrygian mode)

ヨーロッパ音楽の旋法名。ヒポフリギア旋法。ヒュポプリュギア旋法。ハイポフリジアン。

教会旋法名としては、「第Ⅳ旋法」または「変格デウテルス(deuterus plagalis)」と呼ぶ方がより正式で、ドレミでは「シドレミファソラシ」でミが主音・ラが軸音(初期はソが軸音)、拡張移動サでは「パダニサラギマパ」と表記できる。

古代ギリシアで用いられた名称としては、ドレミでは「ソラシドレミファソ」、拡張移動サでは「サリグマパディニ」、教会旋法でミクソリディア旋法と呼ばれるものに相当する。

なお、古典ギリシア語及び古典ラテン語では、'y'の母音は円唇前舌母音であったが、教会旋法命名当時の中世ラテン語では'i'と混同されていた。また、古典ギリシア語及び古典ラテン語では、'ph'の子音は有気破裂音であるが、中世ラテン語では、摩擦音のfであった。さらに、'gi'の発音は古くは「ギ」であったが、後の口語では口蓋化され「ヂ(ジ)」に変わっていった。

ヒュポミクソリディア旋法(ひゅぽみくそりでぃあ・せんぽう:Hypomixolydian mode)

ヨーロッパ音楽の旋法名。ヒポミクソリディア旋法。ヒュポミクソリューディア旋法。ハイポミクソリディアン。

教会旋法名としては、「第Ⅷ旋法」または「変格テトラルドゥス(tetrardus plagalis)」と呼ぶ方がより正式で、ドレミでは「レミファソラシドレ」でソが主音・ドが軸音(初期はシが軸音)、拡張移動サでは「パディニサリグマパ」と表記できる。

なお、古典ギリシア語及び古典ラテン語では、'y'の母音は円唇前舌母音であったが、教会旋法命名当時の中世ラテン語では'i'と混同されていた。また、古典ギリシア語及び古典ラテン語では、音節'ly-'の母音'y'は長母音であったが、中世ラテン語では、母音の長短による語の区別は失われていた。

ヒュポリディア旋法(ひゅぽりでぃあ・せんぽう:Hypolydian mode)

ヨーロッパ音楽の旋法名。ヒポリディア旋法。ヒュポリューディア旋法。ハイポリディアン。

教会旋法名としては、「第Ⅵ旋法」または「変格トリトゥス(tritus plagalis)」と呼ぶ方がより正式で、ドレミでは「ドレミファソラシド」でファが主音・ラが軸音、拡張移動サでは「パディヌサリグミパ」と表記できる。

古代ギリシアで用いられた名称としては、ドレミでは「ファソラシドレミファ」、拡張移動サでは「サリグミパディヌ」、教会旋法でリディア旋法と呼ばれるものに相当する。

なお、古典ギリシア語及び古典ラテン語では、'y'の母音は円唇前舌母音であったが、教会旋法命名当時の中世ラテン語では'i'と混同されていた。また、古典ギリシア語及び古典ラテン語では、三番目の音節'ly-'の母音'y'は長母音であったが、中世ラテン語では、母音の長短による語の区別は失われていた。

ヒュポロクリア旋法(ひゅぽろくりあ・せんぽう:Hypolocrian mode)

ヨーロッパ音楽の旋法名。ヒポロクリア旋法。ハイポロクリアン。

完全五度と完全四度に分割できないため、楽曲の展開が困難とみなされ、正式な教会旋法としては採用されなかった。ドレミでは「ファソラシドレミファ」でシが主音・レが軸音、拡張移動サでは「ポダニサラギマポ」と表記できる。

なお、古典ギリシア語及び古典ラテン語では、'y'の母音は円唇前舌母音であったが、教会旋法命名当時の中世ラテン語では'i'と混同されていた。

プールヴァ=アンガ(ぷーるゔぁ=あんが:pūrva^aṅga)

主音から上方へ旋法を見たときに、手前側・低い方にあるアンガのこと。

移動サで言えば、概ね「サ~マ」「サ~パ」または「リ~パ」に位置するアンガをいう。

ウッタラ=アンガと対になる概念。

プールヴァ=ラーガ(ぷーるゔぁ=らーが:pūrva-rāga)

演音軸音)がプールヴァ=アンガに含まれるラーガのこと。移動サで言えば、サまたは、概ねリ~マに、演音(軸音)が位置するラーガ。

ウッタラ=ラーガと対になる概念。

副演音(ふくえんおん:saṃvādī)

旋法の音の動きの中で2番目に長くまたは頻繁に滞在し、演音軸音)を助けて旋律の枠組みを作る音。主音と同一の場合もあるし、異なる場合もある。補軸音。サンヴァ―ディー。旋法の構成音の役割の一つ。

通常は、演音(軸音)から見て完全四度または完全五度に位置する。そうでない場合には、演音(軸音)から対蹠音(増四度・減五度)の位置にあるか、旋法の属音または下属音の位置であることが多いが、さらに例外の旋法もある。

演音(軸音)・順旋音違旋音と組になった概念。

部分音(ぶぶんおん)

何らかの一つの楽音は殆どの場合、様々な周波数(振動数)の振動を成分として含んでいるが、特定の楽音の構成成分としての個々の周波数の振動を部分音という。どのような部分音を含んでいるかは、楽音の音色に関わる。

プラヴァーラ(ぷらゔぁーら:pravāla)

様々なヴァラヤメーララーガ等を内包する、音階や旋律のシステム全体のこと。

サンスクリットを使った独自の術語であるが、語義としては元来「珊瑚」を意味し、環状のもの(=ヴァラヤ)であるポリプが、各種ごとに個性的な立体形に集まっているイメージに基づく。また、「ヴァラヤ」と共通している動詞語根√val は、「回る・巡る」の意味であり、接頭辞pra-は「原・前・先」を意味して、音が現実に旋律を形作るための原型としての状態・システムを指す。

具体的には、西洋クラシック音楽であったり、北インド古典音楽であったり、そうしたそれぞれの楽典を持つ大きな音楽ジャンルの括りが、プラヴァーラである。

プラサーリニー(ぷらさーりにー:prasāriṇī)

インド音楽におけるシュルティ名で、音階基準音から上方に11番目の音程。原義は「拡がる・ほとばしり出る」の女性形。

音程幅は学説により、約70.7¢または約56.8¢。ジャーティは、アーヤター。

フラット=アンド=ア=ハーフ(flat-and-a-half)

ナチュラル(♮)音より、3四分音低い音、または6コンマ低い音を示す、変化記号の一種。フラット(♭)の左に、それを左右裏返したデミフラットを合成した、フラット=アンド=ア=ハーフのような形、または、ダブルフラットに斜線を加えた形をしている。

プリーティ(ぷりーてぃ:prīti)

インド音楽におけるシュルティ名で、音階基準音から上方に12番目の音程。原義は「満足・喜悦」または「友情」で、女性名詞。

音程幅は学説により、約90.2¢または約27.7¢。ジャーティは、ムリドゥ。

フリギア旋法(ふりぎあ・せんぽう:Phrygian mode)

ヨーロッパ音楽の旋法名。プリュギア旋法。フリジアン。

教会旋法名としては、「第Ⅲ旋法」または「正格デウテルス(deuterus authentus)」と呼ぶ方がより正式で、ドレミでは「ミファソラシドレミ」でミが主音・ドが軸音(初期はシが軸音)、拡張移動サでは「サラギマパダニ」と表記できる。

古代ギリシアで用いられた名称としては、ドレミでは「レミファソラシドレ」、拡張移動サでは「サリギマパディニ」、教会旋法でドーリア旋法と呼ばれるものに相当する。

なお、古典ギリシア語及び古典ラテン語では、語頭のPh-の音は有気破裂音であるが、教会旋法命名当時の中世ラテン語では、摩擦音のfであった。また、古典ギリシア語及び古典ラテン語では、'y'の母音は円唇前舌母音であったが、中世ラテン語では'i'と混同されていた。さらに、'gi'の発音は古くは「ギ」であったが、後の口語では口蓋化され「ヂ(ジ)」に変わっていった。

ベイ(べい:ba)

トニック=ソルファ法による階名の一つ。短調(=短音階/ラ旋法)における、ファのシャープのこと。

これに対し、長調(=長旋法/ド旋法)におけるファのシャープは、「フィ(fe)」という。ファに対するベイは、ファに対するフィより1コンマ低いため、階名が別にされている。

平均律(へいきんりつ:equal temperament)

音階の1周期となるべき音域を、均等な音程になるよう分割した音律。基本となる音から各音の周波数比〔振動数比〕は、その殆どが整数比ではない無理数となる。

狭義には「十二平均律」と呼ばれるものを指す。オクターヴを12の均等な半音に分けたもので、半音の周波数比〔振動数比〕は、1:「2の12乗根」となる。16世紀に中国やヨーロッパで算出され、近代になって急速に世界的に広まった。オクターヴ関係を除く全ての音程が、無理数比で定められており、きちんと協和する関係からは少しずつ外れている。調律の作業も難しい。

しかし、最低限の数の音で調律を変えることなくあらゆる均の音階を奏でることができ、広い音域の鍵盤楽器を設計するのに適していたし、オクターヴを12音に集約することで音楽理論も分かりやすくすることができた。また、融け合う位置から少しずつずれることで構成音が粒立って聞こえることが、独特の美しさともなっていると考えられる。12半音を均等に扱う十二音技法の音楽には、特に適合したものとされている。あらゆる均について響きが均質なため、和音の借用や転調の多い楽曲の発展に寄与した。

広義には、五十三平均律をはじめとする、様々な分割の平均律を含む。対比される概念として、純正律を参照。

平行調(へいこうちょう:relative key)

もとの調と同じ均に属するが、主音が異なり、従って異なる旋法の調。同均異主調。例えば、ハ長調に対するイ短調。

変化記号(へんかきごう)

楽譜上の五線や音符、または音名・階名・音度名に付加して、その本来の音位や音高から、何らかの幅の変化を受けていること或いはその変化がなくなったことを表す記号。大きく分けると、五線に付加して、その段のその位置以降すべてに効力を持たせる「調号」(均号)としての用法と、各音符に付加して、その小節内のその音位のみに効力を持たせる「臨時記号」の2つの用法がある。「調号」(均号)は音階・旋法の幹音の音位を示し、「臨時記号」は一時的な派生音の音位を示す。

種類は、一般の楽典では、シャープ(♯・嬰記号)・フラット(♭・変記号)・ナチュラル(♮・本位記号)・ダブルシャープ(重嬰記号)・ダブルフラット(重変記号)の5種類である。

しかし拡張移動サでは、クインタプルシャープ(五重嬰記号)・クアドラプルシャープ=アンド=ア=ハーフ・クアドラプルシャープ(四重嬰記号)・トリプルシャープ=アンド=ア=ハーフ・トリプルシャープ(三重嬰記号)・ダブルシャープ=アンド=ア=ハーフ・ダブルシャープ(重嬰記号)・シャープ=アンド=ア=ハーフ・シャープ(♯・嬰記号)・デミシャープ・ナチュラル(♮・本位記号)・デミフラット・フラット(♭・変記号)・フラット=アンド=ア=ハーフ・ダブルフラット(重変記号)・ダブルフラット=アンド=ア=ハーフ・トリプルフラット(三重変記号)・トリプルフラット=アンド=ア=ハーフ・クアドラプルフラット(四重変記号)・クアドラプルフラット=アンド=ア=ハーフ・クインタプルフラット(五重変記号)・クインタプルフラット=アンド=ア=ハーフ・セクスタプルフラット(六重変記号)という、23種類の四分音単位の記号と、さらにそこからの微細な変化を示す諸記号を用いる。

これらの大幅な音程差を持つ変化記号は、「五線譜上の音符の位置1つの変化(五線の線と間とのあいだの変化)は、7音音階の隣り合う音度の幹音同士の音程差を表す」という原則を貫いて五線譜を用いるために設けたものである。1四分音差で幹音が隣り合うようなエンハーモニック類の音階も、ディアトニック音階と同じようにすっきりと読めるようにした。また、シャープ系よりフラット系の方が記号が多いのは、もともと無記号で表されるハ均ディアトニック音階が、シャープ系寄りの音階だからである。

補軸音(ほじくおん)

旋法の構成音の役割の一つ。このサイトでは、副演音(サンヴァ―ディー)の同義語である。

(→副演音

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(最終更新2013.10.28)

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