声楽と音度名唱

 ※音度名唱「拡張移動サ」の全体を概観するには、拡張移動サ音度名表をご覧ください。

大歓喜トップ >> 声楽と音度名唱 >> 拡張移動サの仕組み(2)

拡張移動サの仕組み(2)

拡張移動サを覚える4段階

拡張移動サは非常に大きなシステムであり、一度に覚えようとするのは得策でない。ここでは、そのシステムの4層の構造について提示する。


第1段階)単純半音階・7音音階式:12個

基準音 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11
ディ

※半音に1つずつの音度名。各半音で最もよく使うであろうものを選んでいる。
これが歌えれば、長音階・各種短音階のみならず、西洋の教会旋法や、インドの代表的な10種類のタートにも対応できる。特に12平均律を用いて7音音階を奏でる場合には、これでほぼ必要十分。
一般的に小中学生くらいまでは、この単純半音階を使えばよいのではないかと思う。


第2段階)2重半音階:25個

基準音 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11
ネ・サ・ロ シ・ラ リ・ガ ル・ギ グ・モ ゲ・マ ミ・ポ パ・ド ピ・ダ ディ・ナ ドゥ・ニ ヌ・ソ

※いわゆる純正律の異名同音関係を、常識的・実用的な範囲で網羅したもの。主音からの完全・短・長・減・増の音程を一通り含んでいる。
インドの基本旋法72種や、途中で関係調への部分転調を挟む楽曲にも対応できる。大部分の合唱曲をはじめ、クラシックからポップスまでを含む常識的・実用的な範囲の純正律には、これで必要十分。


第3段階)4重半音階:47個

基準音 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11
ネ・サ・ロ ノ・シ
ラ・ギュ
ス・リ
ガ・ミュ
シャ・ル
ギ・メ
レ・グ
モ・ピュ
ゲ・マ
ペ・デャ
ゴ・ミ
ポ・デュ
ギャ・ム
パ・ド
ミャ・ピ
ダ・ニュ
プ・ディ
ナ・シュ
ピャ・ドゥ
ニ・セ
デ・ヌ
ソ・リュ

※主音からの重減・重増・畳重減・畳重増に当たる音程を、旋法に使われる可能性の範囲で含んでいる。
通常の純正律に基づいた7音音階(使われる二度は短二度から重増二度までの範囲)であれば、何であれ、これで対応に困ることはない。
非常に奇矯な旋法用のため、そういう旋法を専門に追求したい人以外は、これを身につける必要はない。


第4段階)その他の拡張

下記はそれぞれ特殊な音階・旋法のためのもので、そうしたジャンルを扱わない人は知る必要がない。

4-a)単純半音階・12音音階式:+5個
基準音 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8 +9 +10 +11
ヴァ チャ ジャ

※12半音を対等に扱う12音技法的な音楽のため、音度を示す子音を12種類に増やした12音音度名。

4-b)四分音音階・11音音階式:+20個
基準音
0.5


1.5


2.5


3.5


4.5


5.5


6.5


7.5


8.5


9.5

10

10.5

11

11.5
ディ イィ

※各半音同士のほぼ中間の音程を取る、中立音程・四分音音程の音度名を含めたもの。そのために、音度を示す子音を更に4種類追加しているが、それらは、中3度・中7度・中6度・中2度という、最もよく使う四分音音程のためのものである。ここに挙げた12個の他に、これらと‘異名同音’関係になる8個の四分音音度名がある。

※5つ目として、伸増4度を示す音度子音を導入し、四分音用音度名を合計24個にすることもできる。
→詳しくはこちら

4-c)12音音階用追加音度名からの変化音:+20個

※追加された5つの12音音階用幹音(ヴァ・チャ・タ・ハ・ジャ)から母音交替して、4つずつ、合計20個の変化(派生)音音度名が用意されている。楽曲内で、音列がごく一時的に半音や全音上下した場合に使われる。

4-d)その他の微分音のための表現方法:×3倍

※四分音より細かい音程がある場合は、鼻音化(+¥m/~ン)で微妙な上昇、随伴気音(+¥h/~ッ・ハ・ヒ・フ・ホ)で微妙な降下を示すことができる。
但し、速いパッセージへの対応能力が落ち、煩雑になるため、歌う場合にはなるべく省略する。


(最終更新2010.7.15)

大歓喜トップ >> 声楽と音度名唱 >> 拡張移動サの仕組み(2)