声楽と音度名唱

 ※音度名唱「拡張移動サ」の全体を概観するには、拡張移動サ音度名表をご覧ください。

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移動サに即した楽譜

標準の五線譜の体系では、すぐに「拡張移動サ」で楽譜を読むことができない。譜表を表記するときの前提に、音度名唱をすることが入っていないのだから、当然のことである。しかし、最初から音度名唱を前提で表記すれば、楽譜を見てすぐに移動サで歌えるようにすることも可能である。

表記方法のアウトライン

 1. 譜表の形

第1間と第4間が他の間より1.5倍広い五線譜(=中線譜)か、第3間が他の間より1.5倍広い六線譜(=中間譜)。広い間では、それぞれ、音符が下の線に着く記位(=音符等の表記位置)と、上の線に着く記位がある。

 2. サ(主音)の記位の固定

中線譜では第3線がサ(主音)となり、中間譜では第2線と第5線がサ(主音)となる。

サ(主音)は常に、3本の狭くまとまった線のうち、真ん中の線上。幅が広い「間」は、下はM=スヴァラ、上はP=スヴァラとなる。

 3. 旋法記号の表記

中線譜では第1間上から第4間下の範囲で、中間譜では下第1間上から第3間下の範囲で、各旋法に特徴的な音位を示す記号を、楽譜の冒頭で記す。何も記号がない場合、それは、メーラ=カナカーンギー(サラガマパダナサ)を意味する。

 4. 調記号の表記

旋法記号と同じ記位、即ちサ(主音)を中心とした位置に、サ(主音)の音名を、オクターヴ表示付きで書き示す。

 5. 転調や派生音に関しては

転調の都度、旋法記号・調記号を、二重の小節線後に改めて書く。

転調前後の派生音、その他臨時の修飾による派生音は、各音符に臨時記号を付けて示す。

どのようにして移動サで読めるのか

狭くまとまった三本の線の真ん中の線上を、サ(主音)とすぐに読みとれる。

旋法記号に従って、残りの構成スヴァラの母音を決定する。万一、サも最初から変位である旋法(ヴィナシュタ=ムーラ=メーラ)の場合には、サの母音も修正する(シ・ス・セ・ソの適切なものに換える)。

移調する場合には

移調に際しては、楽譜表記としては、楽譜内の調記号のみを一貫して書き換えればよい。旋法記号や臨時記号の種類、および音符の記位は、一切変更する必要がない。

歌い手にとっては、最初の歌い出しの音高が与えられれば、あとは楽譜に表記された通りの移調前と同じ相対音感で歌い続けることができる。その一方で、楽器演奏者が読みとる場合には、指遣い等がどう変わるかの手がかりが譜面上に現れないため、非常に大変である。


(最終更新2011.7.23)

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