声楽と音度名唱

 ※音度名唱「拡張移動サ」の全体を概観するには、拡張移動サ音度名表をご覧ください。

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拡張移動サと和声(1)

移動サでの和音の呼び方

拡張移動サの音度名唱を用いた場合、和音もそれを応用して呼ぶことができる。

方法は単純であって、「ドレミ」を使用して「ドミソの和音」などと言うのと同じように、和音を構成する音度名を列挙するだけである。

即ち、「サグパの和音」「ダサギの和音」といったように。

<音名唱的用法>ではなく、あくまで通常の音度名として使われる移動サに従って呼ぶ。

各音度の和音を総称するときは、根音のスヴァラ名を使って呼ぶ。アルファベット略号を用いて「Sの和音」、代表的音度名を用いて「サの和音」、または正式な理論用スヴァラ名を用いて「シャドジャの和音」といったように。

この方法に従えば、西洋クラシック音楽理論の機能和声に出てくる記号を、対応する名称で呼び分けることができる。呼び方は十分に短く、口頭では実用的である。構成音がいわゆる長音階の構成音からどれだけ外れても、呼び方が長くならないことが特長の一つである。

転回形を示す場合は、音度名の順序を入れ替えて呼び分ければよい。「パヌリの和音」「ヌリパの和音」「リパヌの和音」といったように。

ただ、機能和声の和音記号のような、コンパクトに記載する記号を持たないため、楽譜に記入するときは、和音記号をそのまま用いる。

豊富な数の和音名

こうして生み出される和音名は、使用頻度の低いものを合わせると大変に多くなる。

例えば、普通に「ドレミ」を使ったのでは、含まれる長三和音は、「ドミソ」「ファラド」「シレソ」の3種類の和音(及びその転回形)しかない。それに対して、拡張移動サに含まれる長三和音は、理論上自然に数え上げられるものだけで、実に116種類(及びその転回形)に及ぶ。

その例を挙げると、以下の通りである。

基本47音度名のみによるもの

「サグパ」「リミディ」「グピヌ」「マディサ」「パヌリ」「ディシグ」「ヌルミ」

「シゲピ」「ルムドゥ」「ゲプネ」「ミドゥシ」「ピネル」「ドゥスゲ」「ネレム」

「ソギポ」「ラマダ」「ギパニ」「モダソ」「ポニラ」「ダサギ」「ニリマ」

「スゴプ」「レミャデ」「ゴピャノ」「ムデス」「プノレ」「デシャゴ」

「セガペ」「ロモド」「ガポナ」「メドセ」「ペナロ」「ドソガ」「ナラモ」

「シュギュピュ」「リュメデュ」「ギュペニュ」「ミュデュシュ」「ピュニュリュ」
「デュセギュ」「ニュロメ」

「シャギャピャ」

5つの追加音度用子音を用いた12音音階的なもの

「サチャパ」「ガタナ」「ヴァパハ」「チャダジャ」「マナサ」
「タハラ」「パジャガ」「ダサヴァ」「ナラチャ」「ハガマ」「ジャヴァタ」

「シチピ」「ギティニ」「ヴィピヒ」「チディジ」「ミニシ」
「ティヒリ」「ピジギ」「ディシヴィ」「ニリチ」「ヒギミ」「ジヴィティ」

「ソチョポ」「ギュトニュ」「ヴォポホ」「チョドジョ」「モニュソ」
「トホロ」「ポジョギュ」「ドソヴォ」「ニュロチョ」「ホギュモ」「ジョヴォト」

「スチュプ」「グトゥヌ」「ヴプフ」「チュドゥジュ」「ムヌス」
「トゥフル」「プジュグ」「ドゥスグ」「ヌルチュ」「フグム」「ジュヴトゥ」

「セチェペ」「ヴェペヘ」「チェデュジェ」「テヘリュ」「デュセヴェ」「ジェヴェテ」

四分音用音度名を用いたもの

「ベカゼ」「ボフェゾ」「バクザ」「ビファズィ」「ブフィズ」

「ケフォイェ」「コゼヨ」「カゾヤ」「キザイィ」「クズィユ」

「フェイェベ」「フォヨボ」「ファズバ」「フィイィビ」

「ゼヤケ」「ゾベコ」「ザユブ」「ズィバキ」「ズビク」

「イェボカ」「ヨケフェ」「ヤコフォ」「イィブファ」「ユキフィ」

多種多様な音階・旋法の和音を寄せ合わせるから、長三和音だけでこれだけの数になるのであるが、短三和音・七の和音など、他の種類の和音についても、同様に豊富な数の和音名がある。


(最終更新2010.8.7)

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